かもめのはとば Re:[2]

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携帯電話を買うときに余計なサービスをつけられる2つの理由



ここ数年、携帯電話を買うときに色々なサービスへの加入を求める携帯電話ショップがキャリア(携帯電話会社)のショップ、街の普通の携帯ショップを問わず増えています。

加入させられるサービスは様々。ドコモさんであればiコンシェルやBeeTV、NOTTVなど。auさんであればauスマートパスやビデオパスなど。SoftbankさんであればUULAだったり、フォトフレームやみまもりケータイだったりします。

この手のサービスは店頭でかなり強行に薦められあたかもそれを契約しないと購入ができなかったり、端末代がかなり高くなるように言いくるめられたりします。

実際この強引な契約は消費者センター等にもかなり報告が上がっており総務省が動き出しそうな状況になるなどかなり大きな問題になりそうです。(場合によっては抱き合わせ販売で独占禁止法違反、みたいな事例もあるみたいです)

では、こういった強引な販売方法は何故起こってしまっているのでしょうか?
その理由は2つほど考えられます。

(以下、噛み砕いての説明となるため若干事実と齟齬も含まれます。)

 

■契約者数が必要な「キャリア(携帯電話会社)」の方針

フォトフレームやみまもりケータイ、GPS、子供用の端末、場合によってはデータ通信端末などをセットで契約させられる場合はこれに当たる場合が多いです。

携帯電話会社が求めているのは端末の販売、ではなく回線の契約です。
1回線を契約してくれることでそのお客さんは数年間(最近だと2年縛りが多い)自社にお金を安定的に払い続けてくれます。

さらに「契約者数が多い=今勢いがある携帯電話会社」という社会的認識もあります。事実各携帯会社は「純増No1」といった形で自社のユーザが増えている、選ばれている会社だという広告を打っています。

 

3年連続純増No.1に感謝して「純増No.1ありがとうキャンペーン」を実施 | ソフトバンクモバイル株式会社

そのため、携帯電話会社は回線契約ごとにショップにボーナスを払うのです。

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ショップが効率的に売り上げを上げるためにはこのボーナスはとても重要です。さらにひとりのユーザから複数回線契約が取れれば大きく手間(接客コスト)が減ります。

そのため、携帯電話会社とショップの施策として「携帯電話回線の入った、いろんな形の端末」が販売されることとなります。それが上記に上げたフォトフレームやみまもりケータイ、GPS、子供用の端末となります。今後は以前記事で取り上げた体重計等も入ってくるでしょう。
場合によっては端末代無料でショップはそれらを提供しても、さらに携帯電話を割引しても、ボーナスが入れば差し引きプラスになったりします。

「フォトフレームが0円でもらえる」「月額0円でこちらの端末も」「一緒にこちらの端末も契約すると安くなる」等々といった売り文句で店頭で端末を渡されるカラクリはこういった理由があるからです。

タチが悪いのはこの手の端末が2年契約とされており中途解約すると高額な違約金が発生する可能性があることでしょうか。その点においても携帯電話会社は契約数が欲しいと考えるとそういう仕組みになっていることも理解がでます。

 

■コンテンツサービスを売りたい「携帯電話会社」「広告代理店」の事情

2つめの理由もほぼ同じ。色々なコンテンツを顧客に入会させることで携帯ショップはボーナスを受け取っているのです。

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この場合は携帯電話会社の施策である場合と広告系代理店の施策(広告商品)である場合があります。コンテンツ加入者が増えることの携帯電話会社や携帯向けサービス会社のメリットは2つ。

・月額課金であればユーザがやめない限り継続的に収入が発生する

・登録数やダウンロード数の底上げが行える(人気アプリのように見える)

特に最近ではスマホアプリの普及により後者のパターンをよく目にするようになりました。よくダウンロードされるアプリはGoogle PlayやApp Storeのランキングで目立つ場所に行くからです。

この場合もショップは契約、ダウンロード数に応じて携帯電話会社や代理店からボーナスを受け取ります。その受け取ったボーナスの中の一部を「携帯購入時の割引」の費用としているのです。
(こちらも契約すれば割引になります、というのはそういうカラクリです)

 

どちらのパターンにおいてもその理由と仕組みがわかればあまり問題になることはないかもしれません。現にユーザは契約の対価として割引等のサービスを受け取ってはいます。

一番の問題なのは悪質なショップの説明不足、場合によっては強制的に契約をさせようとする姿勢であり、場合によっては携帯電話会社もその片棒を担いでしまっている現状だと思っています。例えばフォトフレームの回線契約、二年契約等に至っては説明されず後々トラブルになる場合も多いと聞きますし、コンテンツサービス契約に至っては「加入しないと契約できない」といった虚偽の説明をされる場合も多いです。

この点に関しては、業界全体が根本的に姿勢を変えない限り行政の介入があっても仕方ないのかなと思います。