かもめのはとば Re:[2]

やわらか系、モバイルとかアプリとか法律とか色々。

さてMCF発表の数字でも見ましょうか



モバイルコンテンツ関連の市場規模を発表(Press Release)
2009年モバイルコンテンツ関連市場の合計は、1兆5,206億円
【以下URLはPDF注意】
http://www.mcf.to/press/images/mobilecontent_market_scale2009.pdf

本日付で2009年のコンテンツ市場推移が出ていました。
前置きとしてスマートフォンは書類中にもある通り、数字に含まれていません。
全体的に見るにコマース・コンテンツ共に順調な伸びを示しています。
コマースは門外なんで(サービス系のコンテンツディレクターやってましたけどさw)、コンテンツを中心に見ていきます。

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まず前年対比で目に見えて大きく伸びているのがアバター・アイテム販売。この分野はいわゆるところの「ソーシャルアプリ」が大きな牽引要素でしょう。GREE、モバゲーが積み亞上げて来た市場がmixiOpen化を号砲として各SAPの参入受け入れによりここに来て大爆発といった感じです。これはいわずもがな。

続いて目立つ動画ジャンルついてはBeeTVの激しいプロモーション及びモバイルでのニコニコ動画の伸び辺りが牽引してるのではないでしょうか。ニコニコ動画をモバイルで?とPCユーザの方は思いがちですが、この辺り( http://k-tai.impress.co.jp/docs/ranking/vri/20100616_373046.html )も参考にすると、想像以上に若年層には浸透しています。

生活情報市場の牽引要素はMTIの「ルナルナ」辺りでしょう。ドコモのサービス「iコンシェル」等々も絡んでいるのかなと想定はしたものの、こちらは交通情報市場と微妙な被り方を見せてるので判断要素としてみないほうがよさそうです。

この3軸は、今期も続けて「伸び」市場ではないでしょうか。
動画あたりは大幅なライフスタイルと時間を要求するので、伸び率はあまり出ないかもしれませんが…。

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電子書籍市場に関しては、通常のケータイの中でまだ伸びしろあったかといった印象の方が強いです。このジャンルについては今後、スマートフォンが調査対象に入ってくると一気に加速&再爆発をするジャンルと見て問題ないでしょう。

意外な健闘を見せたのがデコメ市場。こちらは既にコモディティ化をおこしている上に、プリセットで相当数のデコメが入っている端末が販売されていて、なおかつコンテンツの投入ペースもドコモのみ見ている限りでは年末年始の需要期以外沈滞している為予断を許さない状況かと思いましたが、以外とおおきな伸びを見せています。牽引要員はコモディティ化下中でも差別化を図れる版権モノ等々でしょうかね?

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縮小・停滞を見せた市場の中できになるのが「着うた」市場、こちらも一定以上の普及を見、もはや有って当たり前な雰囲気。更に着メロと違い固定の音源を各社で使うために差別化が取れず・・・と伸びしろを見せるには難しい市場になってしまいました。ユーザは徐々にiTunesをはじめとした汎用性の高い(ケータイに縛られない)音楽配信購入に移行してるような気もします。
対して着メロは400億堅持。よく頑張ってます…。

モバイルゲーム市場はほぼ横ばい。こちらは強敵「ソーシャルゲーム」にユーザがどれぐらい喰われるかが今後の命運を決めそうです。通常のコンシューマーゲームであればライトユーザ向けのソーシャルゲームと棲み分けができそうなのですが、ケータイゲーム層に絞り込んで言えば、もともとライトユーザをターゲットにしたものが多い気もするので…。
また、特に元気な女性向け恋愛ゲーム市場においても1社を除き(お察しください)、頭打ち傾向が若干見えつつあります。その上にVectorなんかはソーシャルプラットフォーム上で恋愛ゲームを展開してきたり、で市場は維持or拡大すれどユーザあたりの収益単価は下がりそうな勢い。

待ち受け・着せ替えに関してはもう少し待ち受けから着せ替えへのシフトが起こるのかなと思いきや額面ベースでは待ち受け持ちこたえ、着せ替えの伸びも鈍化、といった結果となりました。着せ替えコンテンツ自体もどちらかというと製作ハードル(端末仕様が多岐…)が高い割に、版権モノ以外は「カブり」が置きやすいデコメと同類のジャンルだったりするので、今後の先行きが心配です。
(でもUIがカスタマイズできるっていう思想は素直に感動なんですけど…)

占い市場。あんまクチにしづらい市場なのですが(笑)、ここは初めての前年比減少を記録。元々「安定的に需要があり美味しい市場」ということで微増微増を繰り返してきたのですが、ここに来て一気に飽和感が出てきた感触です。いわゆる類似サイトの他面展開で一気にコモディティ図式完成といった感じ。傾向としては差別化を図るために占い師名を出したサイトが公式メニューの上位に来がちになっています。このへんの図式は「デコメ・待ち受け・着せ替え」辺りの「版権モノによる差別化」と似たようなイメージですね。

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全体を総括して見たところ、コンテンツ市場の伸びの実に42%程度をアバター・アイテム販売等のソーシャル系が占め、更に15%を電子書籍が占めているという非常にわかりやすい図式となりました。一概にソーシャルと言っても各ジャンルの要素を包括するじゃないかと(たとえばソーシャル「ゲーム」におけるゲームとの重複、○○診断における占いとの重複等々)言えばそうなのですが、完全に公式各ジャンルが生活情報以外鈍化し、別のプラットフォームへの移行が見て取れるのが興味深いです。このへんはスマートフォン(特にiPhone)での各種販売を並べてみると、さらに顕著に出るのではないでしょうか。

また今回コメント中に「フリーミアム」といった単語が見受けられるところも、昨今の時勢上興味深い点です。
フリーミアム自体はPC向けコンテンツで強く見られる傾向だったのですが、徐々にモバイル側にも浸透してきている、もしくはPCコンテンツとモバイルコンテンツの垣根が希薄になってきている(作る側においても、ユーザの感覚においても)証拠なのかもしれません。