かもめのはとば Re:[2]

やわらか系、モバイルとかアプリとか法律とか色々。

何故運営型サービスで「新参お断り」や「違和感のある改修」が起きるのか。施策と機能改修とターゲットのお話。



 

運営長期化と避けられないインフレ感

ある程度長く続いたゲーム系のサービスでは難易度が上がりすぎて「新参お断り」のような状況が発生する事があります。
逆にある程度長く続いたSNSなどではヘビーユーザが好まない改修が唐突に行われることがあります。

こういった状況は何故発生するのでしょうか?
実際は色んな要素が噛み合って起こることですが、その判断の一面を切り出してみました。

ユーザの熟練度の成長は一定じゃない

サービスを使う人それぞれ、サービス自体にかけることができる時間は違います。課金要素が入るのであればそれによっても差がでます。
その差の積み重ねをサービスに対する熟練度とすると、上位のユーザと下位のユーザの熟練度は時間がたてばたつほど差が広がっていきます。

ツールであれば如何に使いこなしているかですし、ゲームであればこの熟練度の大きさが強さや、優位性になります。

図にすると下図のような感じ。

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イベントや施策を設定する

サービスを活性化するため何か手を入れる際、ユーザのどういった層をターゲットにするかを決めます。
ゲームであればイベント設計ですし、SNS等であれば機能追加などでしょう。

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上図においては「ゲームのイベントを実施する」と仮定し、「上位25%ぐらいの熟練度の人をコアターゲットとする」決定を行ったとします。

イベントターゲットから外れれば外れるほど、サービスのユーザにとってイベントは不満足(簡単すぎる・難しすぎる)ものとなります。
この場合、サービス開始から間もない左のイベントより、右のイベントの方がターゲットから熟練度が大きく離れた(図内の★から縦軸で距離が大きい)ユーザが存在してしまう事がわかると思います。
この離れた距離が「つまらない」「合わない」などといった感情に直結してしまうわけです。実際想定したターゲットではないので、それは当然の事なのです。

運営型サービスは常にユーザが流入し続ける

さらに運営型のサービスは、開始時だけにユーザが入るわけではありません。常に新しいユーザが流入し続けます。
例として2つめの図に「1つめのイベントが開催されている時期に流入したユーザの熟練度の成長」を重ねて描いてみましょう。

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後から入ったユーザは当初のユーザと比べ情報入手の優位性などがある為、上位層の成長速度は高くなることが一般的です。
しかし右のイベントではまだ、最上位を除きほぼ全てのユーザがターゲットから外れてしまいます。俗にいう「新参お断り」の状態になってしまっているわけです。

かといって2つめのターゲットを単純に下げると今度はサービス開始当初から支えてくれたユーザ層にとっては面白くない(ヌルい)イベントとなってしまう可能性が強くなってしまいます。

どのユーザをターゲットにするかで発生する違和感

上図を見ているとサービスに対して何かを行う際のターゲット(図内の★)の位置で取捨選択的に最適な判断をするのが如何に難しいかが理解できるかと思います。
全ての層をターゲットにする(★を縦に沢山描く)事は作業が出来る人や時間、予算が限られている以上かなり難しいです。実際できたとしても2~3点でしょう。

ゲームのようなコンテンツであれば、ある程度ユーザに「続けて遊んで貰う」ような設計をすることになります。そうなると、ユーザの熟練度がより高くなるよう、ユーザの習熟度が上がっていくように上の方に目標点としてターゲットを一つ設定することになってしまうのです。結果、ライトユーザには厳しい状況が発生しがちになります。

逆にSNSやツールのようなものは如何に人を抱えるか、ユーザを増やすかという事が勝負のポイントになります。こういったサービスは熟練度の低い、新しいユーザをしっかりと取り込むためにターゲットを下の方に置くことになります。結果、ヘビーユーザには違和感があるような改修を行いがちになるわけです。

余談

コントロール次第ではユーザの習熟度にあまり差がでないようなサービスデザインをすることも可能だとは思います。そうするとイベント等のターゲット設定は困りにくくなります。
ただこのデザインを強く行った場合は「幾ら時間をかけても、コストをかけても優位性を得ることが出来なくなる」といった欠点も発生します。

実際にはユーザが流入する量やタイミングなんみたいな要素もこれ以外に絡んできたりします。あくまでこれは判断の一つの側面であることをご理解ください。
それにしても、バランスを取るのは難しいですね。